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石祠(砂岩)の部材修理

□概  要

名  称宮野町恵比須祠 扉石修理
所 在 地福岡県八女市
業務概要

石祠の扉石と銘のある壁石が破損していたため、修理を行いました。

扉石 2枚 壁石(銘入り)1枚



□破損状態

表層の層状剥離や部材一部が欠損していました。また、材質劣化が著しく、銘の表層一部は剥落していました。

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左扉

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右扉

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右壁石



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欠損(右扉)

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欠損(右扉)

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銘の剥落(右壁石)

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層状剥離(右壁石)



□クリーニング

接合可能な部材は番号付記のうえ取外しました。表面の塵埃や藻類等の植物は強化剤含浸の妨げとなるため、全体を水洗いし植物付着部分はスチーム洗浄機と軟質ブラシで取り除きました。 クリーニング後、室内で2週間乾燥させました。

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部材の取外し

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取外した部材

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クリーニング

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クリーニング完了



□石質強化

シラン系強化剤に24時間浸漬し、石質強化を行いました。取り外した部材も同様に強化しました。石質強化後、余剰薬剤を拭き取り、室内で2週間養生しました。

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部材の石質強化

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余剰薬剤の拭き取り

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石質強化完了



□亀裂充填・接合

亀裂や剥離部分はアクリル樹脂で充填接合しました。また、取り外した部材はエポキシ樹脂で接合しました。

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亀裂充填

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接合



□下塗り

欠損が深い部分をプレミックスポリマーセメントモルタルで下塗りし、全体が仕上げの5mm下がりの高さになるように調整しました。

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下塗り



□擬石補修

配合試験で決定した配合骨材と擬石剤を混合し、欠損部分に塗付けました。硬化前に竹串でテクスチャーを調整し、硬化後アクリル樹脂と無機顔料で色調調整しました。

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骨材配合

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擬石塗り

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テクスチャー調整

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色調調整



□修理前後比較

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修理前 左扉

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修理前 右扉

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修理前 右壁石

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修理後 左扉

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修理後 右扉

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修理後 右壁石